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多分誰も見ていないと思う小説をまた投稿します。
もし見ている人が居たら感想をお願いします。
しかしこのジャンルが好きな人はどうやってここに来るんでしょうか?
アクセス方法も無いから見る人も少ないですよね。

5話 悪夢四 絶望
ゆりかご内部。娘ヴィヴィオをどうにか元に戻したなのはは傷ついた体に鞭を打って歩き出そうとしていた。
そこにリインフォースⅡと融合したはやてが駆けつけた。
「なのはちゃん!! ヴィヴィオ!!」
はやては二人を連れてゆりかごから出ようとしていた。
だが女性の一声が彼女らの動きを制した。
「待ちなさい」
凛とした一声は彼女らに動くということをさせなかった。得体の知れない威圧感を感じたのだ
振り返るといつの間にか身の丈もある剣と盾を持ち、甲冑を着込み黒い羽を背中に六枚生やしている女性が居た。
はやてと同様の黒い翼は彼女と違い邪悪さを持っていた。また血のように赤い瞳と金色の髪は彼女の美貌を引き立てつつも、その妖艶さに拍車をかけていた。
「選びなさい。ここで私に殺されるか、生きて地獄を見るか」
意味深な科白を突然吐いた。戦闘後のなのははともかくはやてはここに着たばかりでまだ余力が十分あった。
だが彼女の言葉には嘘を感じられなかった。
「言ってくれるな。わいは生きることを選ばしてもらうわ」
「それが地獄だと先ほど言ったはずだけど」
「生きていれば地獄だろうがわいが天国にかえてやる」
その発言を聞き笑った。綺麗な微笑だが背筋が凍りついた。心はまったく笑っていない。
「良いわ。行きなさい」
なのはたちに背を向けた。だがこの場に居りかつ武装をしており管理局員外、つまりスカリエッティの仲間であることを最初から見抜いていたはやては凍結魔法を一発はなった。
人間大の敵ならば一切の身動きをとめることは出来た。
だが剣を一振りし、凍結魔法自体を斬り払った。四散した魔力は触れた箇所を凍らしたがその女性は一切凍りつかなかった。
「やめなさい。貴方が私と対等に戦うならばこの空間は狭すぎて距離がありすぎる。少なくとも守護騎士を全員引き連れてきなさい。勝負はそれからよ」
はやては恐怖というものを感じた。圧倒的な魔力を持ち、レアスキルを持ち、守護騎士を持つ彼女が感じたことのない種類の感情だった。
なのはは構えていたが今の余力では時間稼ぎにもならないと感じていた。
その一方で自分達を逃がそうとする敵の意図が読めなかった。
「守護騎士といえばいいのかしら? 貴方の大事な紅の鉄騎は?」
その瞬間二人は絶望に満ちた表情を見せた。
「安心しなさい。AMFは解除してあるわ。でもあれだけぼろぼろだったんだからバファメトに勝てるわけがないわよね」
はやては全速力でヴィータを教会騎士に任せた場所へ飛んだ。
一方なのははヴィヴィオを抱えつつ飛んだ。
敵に背を向けるという愚行を犯しながら。だが彼女ルシファは手を下す気はなかった。
 
 
 
ゆりかご周辺には二人の戦闘機人が現れた。
そして数分で起きた出来事に対し輸送用ヘリに乗ったアルトは声も出ず、別のヘリに乗っていたヴァイスは驚いていた。
一人は大きな翼を持ち両手両足とも鋭い爪となっており、もう一人は巨大な大砲を装備幾つか持っていた。
まず大砲持ちが両肩の大砲からエネルギー砲を放った。
出力速度共にSランク以上の砲撃であり瞬時に何人もの命が奪われた。
空戦魔導師たちはその二人に攻撃を絞ったが猛スピードで飛行する翼持ちに接触と同時に切り刻まれた。
また翼のように見えたものも武器であり、その羽の先から数十本に及ぶレーザーを放った。
高速レーザーは屈折し回避するのは至難の業だった。
レーザーに体を貫かれて多くの魔導師たちが撃墜されていった。
一方大砲もちは背中と両手あと腰に装備した大砲を組み合わせて巨大な戦艦砲に変形した。
そしてそれを空に向けた。
ヴァイスは最初分からなかったが、あることが頭をよぎり気づいた時にはストームレイダーで狙撃していた。
しかし防壁を展開しているのか、弾丸は敵の周辺で打ち消され貫くことはなった。
「ヴァイス陸曹?」
「こいつまさか宇宙に居る艦隊を狙っているのか」
アルトは否定した。そんなことは不可能だと。
だが放たれた白い砲撃はなのはのそれよりも圧縮されており天を貫いた。
その破壊力は凄まじく衝撃波を浴びただけでヘリのコントロールが効かず吹き飛ばされた。
衝撃を間近で受けているというのに、その男は顔色一つ変えていなかった。
砲撃が終了したが何かがあった様子はなかった。
直ぐには何もおきなかったが流れ星が何本も流れ始めた。
彼らはそれを見て理解した。この敵は宇宙空間にあるクラウディアを撃墜したことを。
またあれだけ居た空戦魔導師や騎士たちは全て翼持ちによって撃墜されていた。
翼持ちの次の狙いはこのヘリだった。
猛スピードで翼を駆使した敵は突撃してきた。ヘリの機動性では回避できなかった。
ヴァイスはストームレイダーにカートリッジを入れ最大の威力で射撃した。
突進を行うその中心を打ち抜いていた。
敵の速度もあり迫撃砲のダメージは確かにあった。
だが少しの間動きを抑えるだけだった。
「アルト!! バラけるぞ。ブレードに当たらない用にして置け」
「はい!!」
輸送ヘリながら高い機動性能を持つこの機体。
その機動性と相まって二人の腕でブレードに当たるということは避けることが出来た。
しかしレーザーの幾つかは機体を貫通してしまった。
この間もう一人の機人はこちらを見ていなかった。再びクラウディアを撃墜した。
その時ゆりかごの障壁が一部崩れた。なのは達だと思ってみた二人だがそこにあったものはまったく違った。
真っ赤に染まり誰が見ても手遅れとしか思えないほど痛めつけられたヴィータだった。
どうやら対峙していた敵の怪力により壁が崩れその姿が見えたようだ。
右手にはぼろぼろになったグラーフアイゼンを握り締めていた。騎士の意地として。
左手は真っ赤に染まり潰されていた。
ヴィータの頭を黒い大きな手が掴んだ。その手の持ち主を見た二人の表情は絶望に染まっていた。
大きな両腕、悪魔のような翼、そして山羊を模した頭。
どこからどうみても化け物そのものだった。
ヴィータを掴んでいる逆の手には大きな斧があった。
どうやらそれでヴィータを痛めつけていたようだ。
それはヴィータの頭を力強く握り締めた。
激痛によりヴィータの表情が酷く歪んでいた。
もし彼女が本調子ならここまで一方的に蹂躙されることはなかった。だがゆりかごの動力炉を破壊するために死力を使い果たした彼女にはこれと対峙するだけの力が残されているわけがなかった。
それは掴んでいたヴィータをゆりかごの地面にたたきつけた。
そのような行為に対して反応するだけの余力も残っていなかった。
完全な無抵抗に陥っているヴィータに対し無表情で斧を振り上げ、そのまま振り下ろした。
アルトは余りにも凄惨な場面を見ていることは出来なかった。
ヴァイスはヘリを動かし怪物の手を打ち抜いた。
しかし弾丸が貫通することはなかった。しかし斧は振り下ろされることだけは防いだ。
変わりに口から弾丸を放ち、それを受けたヴィータは簡単に吹き飛ばされていった。
意識はもうなくこのまま落下すれば死ぬことは間違いなかった。
 
 
 
各地でデス・ナンバーズによる殺戮が行われている頃アースラは沈黙していた。
ほんの数分前アースラは外装を破壊され敵の侵入を許した。
ルキノはアースラ艦内の人間を集め緊急脱出の準備をするように警告した。
既に隊長陣も前線フォワードも折らず、次々と仲間が殺されていった。
もともとロングアーチスタッフは戦闘に長けていない。
戦闘に長けているザフィーラやシャマル、ヴァイスも出撃していた。
ルキノが他の乗組員の脱出を指示することだけが精一杯だった。
だが戦闘の定石とも言えるのか、頭を砕くのは当然であり敵はコントロールルームに入ってきた。
ルキノは生存しているものとまだ助かる見込みがあるものが脱出ポッドに入り脱出するのを手助けしていた。
しかしその間もコントロールルームのスタッフの多くは殺され、ルキノの目の前でグリフィスは息絶えた。
「さあ次に終わるのはお前だ。最後の言葉はなんだ? 命乞いか? 憎しみか? さあ叫べ」
ルキノは声も出なかった。
見開いた両目は血走り纏っているコートは返り血で赤く染まっていた。
「死ぬのは貴方よ。もうこの船には誰も残っていない」
ルキノが押したのはアースラが敵に征圧された場合の緊急プログラムだった。
その時はコントロールを破棄し自爆を開始する。乗員は幾つかある脱出ポッドで脱出し、脱出後内部からのあらゆる脱出を防ぐバリアを展開する。外部の攻撃に強くなく内部の攻撃からのみ強い拘束用結界である。
コントロールルームのスタッフの命と引き換えに侵入者を道連れにするための仕組みだった。
槍を目の前に出されたルキノは恐怖したが既に自分の命を諦めていた。
そんなルキノに興味をなくした敵は半透明なバリアを周囲に展開しロケットのようなスピードで防壁を貫き脱出していた。
「嘘でしょ……戦艦級の防壁を容易く突破するなんて」
「絶望に満ちているな女。いい表情だ。さて更なる絶望を味わえ」
纏っていたバリアが割れ、刃のように脱出ポッドを攻撃した。
「さて何人生き残るかな。死者に絶望は無い。生きたものだけが味わうのが絶望だ」
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