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久しぶりです。もうセンターが近づいているので更新はほぼ停止になりつつあります。
今回の小説を書き始めた一番の動機としてはエリオ×ティアナが見つからないから。
エリティアの小説というのはなかなか見つかりません。
分かっています。マイナーだということぐらい。ええ、本編も繋がりはありません。
それでもなかなかいいものだと思いますよ。
作品問わずにマイナーCPとしては一番好きなものです。
今回のはエリオとティアナです。
読む前に一言
激しく過去捏造及び人間関係捏造があります。
むしろエリオ×ティアナなんてありえないと思っている方は読まないほうがいいかと。
あとティアナの両親なんですが原作で触れられているのは兄だけなのでかなり捏造できました。(駄目だと思いますが)
多分意外な人物です。

8話 悪夢七 恋
建物に隠れて二人は機会を伺っていた。
マモンと対峙したエリオとティアナは戦闘を繰り返しながら中心の戦場から距離を取っていた。
「ティアナさんなにか手はありますか?」
「……」
「ティアさん? 大丈夫ですか?」
「……大丈夫」
ティアナは両目をかなり細めていた。エリオは違和感を感じていた。
マモンは自身の両手を得物としていた。
パタのように両手につけた剣と鉄鞭による攻撃が主な攻撃方法だった。
それと加え戦闘機人の驚異的な身体能力。だがこの程度だったら問題は無かった。
たしかに剣には幾つかギミックが隠されていた。
しかし今までなのはの教導を受けてきた二人にとっては対処できないものではない。
それでも苦戦しているのは異色の両手から発する神経毒だった。
手に近づけばその部位が動かなくなってしまう。
超即効性ゆえ持続性は短いが痺れがなくなるよりも前に攻撃を受ける。
鞭で足を砕き剣で刺し殺す。それがこの男の常套手段だった。
「何処へ行った? まあいいこの私から逃げられるとでも思っているのか?」
見た目以上にリーチの長い鞭の攻撃はエリオでもよけるのが困難だった。
だが、今はそれよりも厄介なことがあった。
「まさか……発症しているんですか?」
「人を病持ちみたいに言わないで。でも、そうかもしれないわね」
もしこのまま進行したらとティアナが言おうとした時エリオに口をさえぎられた。
軽い口付け。だが彼女の言葉を封じるには十分だった。
「それ以上は言わせません。僕が殺させません」
自信に満ちたエリオの表情と反対にティアナの表情は暗かった。
ただエリオだけでなくスバルやなのはにすら言っていないが現状の原因は分かっていた。
いや、スバルとなのはは自分がこうなってしまうことすら知らないのだが。
「僕の顔見えますか?」
「ごめん……もう殆ど見えない」
失明。
それがティアナを悩ましている症状だった。
普段から見えないわけではない。だがまるで周期でもあるかのように突然見づらくなる。
酷い時には何も見えなくなる。
だが六課の人はそれに気付くことは無かった。スバルでさえも。
確かに見えない。だが周りの状況はむしろ見えていた時よりも分かるのだ。
自分を中心にかなりの距離で「見えない視界」は有効だった。
光だけで反応する視覚での反応と違い、このときは空間自体を補足している。
ゆえにどれだけ早く動こうが手に取るように分かっていた。
人間はどうやっても目の前のものしか見えない。だけど全てを見ることが出来た。
見えるという表現は正しくないだろう。実際の視力はいまや0.1も無い。
しかしそんな眼にも弊害はあった。色などは分からないのだ。それ以外にも幾つかあった。
エリオに彼女の目のことがばれたのもそれが原因だった。
 
その日は朝から不機嫌だった。眼を開けたのに何も見えなかったのだ。
(今日は朝から? それに2週間前にあったばかりだし。周期が縮んでいる?)
鏡を見ても自分の表情は分からなかったが、あまりにも不機嫌だったようでスバルは朝起きて直ぐ土下座を始めた。
理由は愛用のくしを勝手に使ったことや寝ているうちに胸を揉んだことなどらしい。
ティアナは少し怒ったが、それ以前にあのスバルがここまで怯えるとは自分は何処まで不機嫌な表情をしているのだろうか。
「ねぇ、私そんなに不機嫌に見える?」
「見えるよ!! だからごめん、本当にごめん。もうしないからそんなに怒らないで!!」
自分は魔王のような表情をしてしまったのだろうか?
かつて見たなのはの表情は確かに怖かった。でももしかしたら自分のほうが怖いのかもしれない。
「一つ言っておく。私そこまで怒っていない」
「えええ!? 嘘だっ!!」
それは私の専売特許だろうがと言おうとした口を押さえた。一度も言った覚えはない。いやあるか?
とにかく本当に怒っていないのだ。不機嫌ではあるが。
そしてなぜ不機嫌なのかを考えて漸く分かった。
要するに自分は怖いのだ。光がある世界に慣れすぎた。
昔父親がまだ居た頃言っていた。
父親は首都防衛隊で最強の騎士と呼ばれるほどの男だった。
だけどティアナもそうだが兄のティーダも父親が使う古代ベルカ式は好まなかった。
自分が目指したのは兄と同様母のような戦い方だった。
今思えばいつも家に居ない父親のささやかな反乱だった。幼少時代あった記憶は指で足りる。
それに母親はミッドチルダ式だった。遺伝のレアスキル持ちだというのに。
自分が最も憎み嫌うレアスキルだが。
とりあえず数少ない父親と過ごした記憶にこのようなものがあった。
あの悲しすぎる出来事の直ぐ後だった。
「ねぇ。父さんも怖いものってあるの」
それは夜。珍しく家に居た父に尋ねてみた。なおティアナから父に話しかけるのはほぼ皆無だった。
親子の会話は無いのが常識だった。
「どうしたんだ? ティア」
父親が振り返ると涙を浮かべたティアナが居た。
話は妻から聞いており頭に手を乗せ視線を合わせて尋ねた。
「暗いのは嫌なの。もう一人なのも怖いの。ねぇ、駄目なの」
「恐怖か。ティアナ闇が怖いのは仕方が無いことだ。見えない状況でも戦う方法はある。だが人は光に頼りすぎているからな」
「光に頼ったら駄目なの?」
「そういうわけではない。恐れることは生きるための本能だ。恐怖をなくしたものは生きることが出来ない。だが恐怖に負けたものも同様だ」
「少し難しいよ」
今でこそ頭のいいティアナだがこのころはまだ護られてばかりの子どもだった。
そんなティアナに父親は頭に手を載せ優しくなでてやった。無骨な手だった。多くの人を護ってきた手だった。
「そうだな。ティアナは怖いと思ってもいい。だがな、何も出来なくなっては誰も護れないんだ」
「じゃあお父さんは怖いものは無いの?」
少し悩んだ表情を見せてから言った。
「そうだな。護れるのに護れないのは怖いな」
最後まであの男のことは理解できなかった。
それからあの事件があった後父と母は別れた。
そして母が亡くなったとき知ったのだが父も亡くなっていた。
(私は怯えているのか。暗いことに。光が無いことに)
訓練は無くデスクワークも終わらしたティアナは木陰で一人考えていた。
今日は視力がゼロまで落ちているため裸眼ではまず見えなかった。幸い完全に視力がなくなっているわけではないらしく短時間しか使えないが母から貰った特殊なコンタクトをつけて行った。
あまりにも視力を強化するため長時間の使用は出来ずデスクワークが終わると直ぐに外した。
いつまでこのような生活を続けるのかと考えるとため息が出た。
今はまだ見えているが次第に完全に見えなくなるだろう。母がそうであったように。
コンタクトをつけてももう何も見えなくなるだろう。だが母は盲目になっても文字が読めていた。
レアスキルをうまく使えば可能らしいがティアナはそこまでいたっていなかった。
そう考えていて気付いたら眠っていた。まだ慣れていない闇の生活ゆえだった。
デスクワークを終わらせる速度はティアナが一番速い。他の新人の分も受けているにもかかわらず。
次に早いのはエリオだった。
幼いながらもしっかりとしているエリオはティアナを探した。
今朝本人は否定したが誰が見ても不機嫌だった。
エリオは身に覚えがないが彼女に好意を抱いているためかなり気にしていた。
(ティアナさん何に怒っているんだろ? でも怒ってないって言ってたけど)
思案しているうちに木を背にして眠っているティアナを見つけた。
不機嫌な様子も無くエリオは安心した。ただ無防備すぎる彼女を見て顔を赤らめた。
(ティアナさんの寝顔か……スバルさんなら見放題だけど)
滅多に見ることの出来ないティアナの寝顔を見ていた。
頬に触れるところまで近づいてようやくこれ以上はだめだと気付いた。寝ているところを襲うのは騎士道に反する。
「ティアナさんこんなところで寝たら風邪を引きますよ」
エリオは触れる言い訳を造りティアナを起こした。
だが今のティアナは眼が見えない。
また眠っていたためか周囲の把握が鈍かった。
故に今のティアナにとってエリオは恐怖そのものだった。見えないのに突然体を触れられることはとても恐ろしい。
それだけでなくあの事件の恐怖があった。
「いやぁぁぁ!! 来ないでっ!!」
叫びエリオから距離を取ろうとするが背後は木。
逃げることも出来ずティアナは怯えていた。突然怯えられたエリオは驚いていた。
これがあるからティアナは朝から不機嫌だった。
「ティアさん?! 僕です、エリオですよ」
エリオはティアナの肩を掴み彼女を落ち着けようとしたが逆効果だった。
掴まれた事で恐怖はより大きくなった。
その恐怖の所為かティアナにエリオの声は届かなかった。
明らかに自分に対して怯えているティアナに対しエリオはどうすればいいか悩んだ。
そして昔フェイトがしてくれたことを思い出し実行した。
優しく抱きしめた。
理由は分からないが今のティアナにとって自分は害を与えるものと捉えているのだろう。
「大丈夫です。僕はティアナさんを傷つけません」
エリオのほうが体が小さいため包み込むことは出来なかったがティアナを落ち着かすことは出来た。
体の振るえが収まったためティアナと面を合わせると薄っすら涙が見えた。
(そこまで怖かったのか。でもどうして?)
そしてあることに気付いた。
「そこに居るのは……エリオ?」
確信した。
「ティアナさん眼が見えていないんですか?」
「……」
ティアナはどう答えればいいか分からなかった。
「どうなんですか?」
重要なことだからエリオも聞かないという選択肢は選べなかった。
「見えないけど……見えるのよ」
ティアナの返事は理解できなかった。ティアナは現在の状況を簡単にエリオに説明した。
エリオはしぶしぶ納得したようだった。
「じゃあその状態のほうが都合がいいってことですか?」
「そういうわけじゃないわよ。それにまだ慣れてないし、慣れるきもない」
能力としては高いだろう。360度の視界といったところだ。
だがこの能力を認めることはティアナには出来なかった。
彼女の夢を捨てることになるから。
「明日には見えるようになるんですね?」
「分からないけど……多分そのはずよ」
エリオは太き担ったことを尋ねた。
「ところでどうやって書類は処理したんですか?」
「この視力強化レンズよ。強力すぎて短時間しか使えないのが欠点なんだけど」
「だけど失明すればそれでも見えなくなる」
この少年はなかなかに頭が良かった。
「他の人に話す気にはなれないんですか」
ティアナは黙っていた。沈黙を肯定とエリオは取っていた。
「じゃあ今日は僕と一緒に居てください」
「なんで?」
「鈍いですね。護ります。僕が貴方の目となって危険から護りますよ」
単純にうれしかった。でも素直に受け取るわけには行かない。
「別に周りが分からないわけじゃないからいいわよ」
「さっきみたいなことがあってはいけないんでね」
ティアナは先ほどの自分を思い出し返す言葉が無かった。だが流されるわけには行かない。
「でも良いのそんなところキャロとかフェイト隊長に見られたら」
彼が好意を持っている二人に自分と一緒に居るところを見られたら誤解されるだろう。
そして自分も彼が彼女らに対して好意を抱いているところは見たくなかった。
眼が見えない分そういった感情的なものが見えてきた。
それでなくても自分とエリオはあまり接点が無い。
「見せればいいんじゃないですか?」
ティアナが言っている言葉を理解してないかのような言い方だった。
「あんたキャロとかフェイト隊長のこと好きなんでしょ?」
「そりゃフェイトさんは大切な人だしキャロは大事パートナーですが恋愛感情は無いですよ」
それを聞きティアナは思ったよりエリオはませてないと思った。
考えてみればまだ10歳だ。ようやく年が二桁になったばかりなのだ。
自分が抱いていた感情も、そう憧れだろう。
「そう。じゃあお願いね。……でも助けられてばかりじゃ癪ね」
ティアナはエリオのほうを見ずに言った。
「なにか私に出来ることでしてほしいことある? なんでもしてあげるわよ」
先ほどの考えからそんな子どもに助けられてばかりでどうするという考えに達した。
しかしエリオの言うことも一理あるので彼の案には従う。だがそれならばという考えだった。
「なんでもですか」
「ええ」
「いいんですね。なんでもしていいんですね?」
「そうよ。ちょっと待ちなさいあんた一体何をする気、このエロオ」
彼女の声は遮られた、エリオの口付けによって。
前言撤回だ。彼はかなりませていた。だが彼の行為に対して怒っていない自分に驚いていた。
目の前の少年は自分からしたことなのに顔を赤くしているようだ。脈拍の変化から伝わった。
「順序……間違えていない」
「……ごめんなさい」
「あやまらなくてもいいわよ。私が何でもって言ったんだから。でもあんた何か言うことがあるでしょ」
年上の自分が言わずに彼に言わせるのは卑怯だろうか?
だが否定したかった。自分が考えた言葉を彼が口にするのを。
エリオの脈拍が上昇しているのが分かった。かなり緊張しているようだ。
ここまで分かる様になってきていた。
そして願望は裏切られ予想が的中する。
「……好きです。僕はティアさんのことが好きです」
(僕はティアナちゃんのことが大好きだから)
重なったのは幼い頃の想い人。違うのは呼び方。
否定したかった。だって彼は10年前に死んだのだから。自分のせいで。
しかし現在のエリオの年齢や彼の過去から確証は在った。
だが彼は彼なのだろうか。自分が勝手にどう一人物に仕立て上げたいだけではないのか?
このエリオにはあの人の記憶は無いはずだ。
「エリオ……貴方は誰なの?」
「僕は、エリオ・モンディアルですよ」
ティアナは決意した。もし彼が自分以外の人と付き合うのならこのことは墓場まで持っていくつもりだった。
だが彼が今好きなのは自分だった。自分も好意は持っているなら。
「エリオ。私のことを好きになるのはやめなさい」
「……なんでですか? どうして駄目なんですか? もしかして好きな人が居るんですか?」
ショックを受け、エリオは問い詰めた。
「……私がまだ6歳の頃、好きな人が居たの」
突然ティアナは昔話を始めた。
「その人は私よりも4歳年上でね、病弱な母や多忙な兄の変わりに幼い頃の私のたった一人だけの友達だった」
エリオは何も言わずにその話を聞いていた。
「彼の家はミッドチルダでも一番裕福と言われている家の一人息子でね、彼にとって周りはそんな親に媚を売る人ばかりで周りはそんな親の子だった。だから彼にとっても私は数少ない友人だった」
遠い眼をしながらティアナは語った。
そして彼女の話を聞き終えたあとのエリオの表情をティアナは見えなかった。見なくて良かった。
三日月よりも酷く歪んだ口元を。
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